積読ブックマークをGrokと読む(1)東大FoundX「仮説思考入門」
ブックマークしたまま読んでいない資料を、Grok Botと一緒に読む連載です。Grok Botに要約と質問への答えを頼み、その答えを資料のページと照らし合わせます。
第1回は東京大学FoundXの馬田隆明さんのスライド「仮説思考入門」(スタートアップの仮説思考 (1))です。Xで紹介しているポストをブックマークしていたのですが、なぜブックマークしたのかはもう覚えていません。たぶん「役に立ちそうな資料だ」と思ったからです。積読によくあるパターンだと思います。
「仮説思考入門」はどんな資料か
東京大学FoundXディレクターの馬田隆明さんが、2021年2月15日にSpeaker Deckで公開した204ページのスライドです。Speaker Deckの説明によると、スタートアップで必要になる場面が多い仮説の考え方を解説した、仮説思考シリーズの1つ目です。2ページ目には、このスライドを基にした書籍『仮説行動』が出たことも書かれています。(出典:Speaker Deck、FoundX Review)
きっかけは2024年9月22日のさとりさんのポストで、「ClaudeやChatGPTにPDFを渡して解説をお願いするとより深く理解できる」とありました。今回はGrokのアプリに添付したのではなく、Grok BotがPDFをダウンロードして読み、要約と答えを作っています。x.aiの発表によると、Grok Botはクラウド上に自分用のコンピューターを持ち、アプリやウェブサイトで作業を進めるAIのエージェントです。(出典:Introducing Grok Bot)
ページ番号はPDFの番号で、Speaker Deckのスライドの番号と同じです。
Grok Botの3行要約
Grok Botに3行で要約してもらい、1行を20字以内に縮めました。
- 正解がないから、仮説を立てて確かめる
- 仮説は事実×推論。確度は0か1ではない
- 仮説の4ステップを、速く何度も回す
(1:p.4〜8/2:p.33、39、69/3:p.170〜174、185、189)

中学生向けの要約
仮説とは「たぶんこうだと思う」という仮の答えです。「雲がある」のを見て「雨が降るかも」と考え、「傘を持っていこう」と決めます。この「傘を持っていこう」が仮説です。(p.12、p.17、p.35)
仮説は詳しい人でも外れることがあるので、本当に合っているかを確かめて、外れていたら直します。1回で正解を出そうとするより確かめる回数を増やすほうが、いい答えにたどり着きやすくなります。(p.20〜22、p.185、p.189〜192)
Q1 この資料でいう「仮説」とは
Grok Botの答えを短くすると、仮説は「仮に立てた説」で、事実をもとに推論して作ります。正しいか間違いかの二択ではなく、確からしさに度合いがあります。(p.12、p.34、p.39)
ビジネスの仮説はまだ決まっていない話なので、語尾に「(はず)」が付きます(p.15)。仮説の上に仮説を重ねるほど、最後の仮説の確からしさは下がり(p.62〜63)、100%正しい仮説はありません(p.69)。
Q2 高配当株を1銘柄選ぶときの手順は
「高配当株を1銘柄選ぶときに仮説思考を使うと、どんな手順になる?」とも聞きました。この資料はスタートアップの事業づくりについての資料で、株の話は出てきません。そこで、資料に書いてあることと、Grok Botが銘柄選びに当てはめた例を分けて書きます。特定の銘柄をすすめるものではなく、投資の助言でもありません。
資料に書いてあること
進め方は図1の4ステップです。加えて、仮説は積み重なっていて、下の仮説が間違っていれば上の仮説はすべて崩れます(p.66)。そのため、確からしさを上げるなら基盤にある仮説から検証します。資料はその基盤を「顧客の課題」の仮説としています(p.68〜69)。
検証で仮説を否定する情報も集めると、大きく間違っているときにすぐ分かります(p.167)。確からしさは100%にはならないので、どこかで十分検証できたと判断して、リスクを取って決めます(p.181)。
銘柄選びに当てはめた例(応用)
ここからはGrok Botによる当てはめで、資料には書かれていない部分です。
- 生成:配当の出し方、利益の推移、配当性向から「今の配当を続けられる(はず)」と書く
- 分解:その下にある「利益が安定する(はず)」「無理に配当を出していない(はず)」を見つける
- 選択:まず1銘柄の、いちばん下の仮説1つに絞る
- 検証:過去の減配や、利益が落ちた年の配当など、外れるパターンを先に探す。結果は「たぶん合っていそう(60%くらい)」と度合いでメモする
- 決定:候補に残すか外すかを決め、決算のたびに見直す
配当が続くかどうかは、答えが出るまで年単位でかかります。「次の決算でこうなるはず」と予想を書いて答え合わせする小さな検証なら、短い周期で回せます。
Q3 まず読むべき10枚
「200枚のうち、まず読むべき10枚はどれ?」への答えを、資料の中の位置と一緒に図にしました。

10枚のうち5枚は前半のp.12〜35に集まっていて、残りは仮説の特徴(p.69)、進め方(p.167、p.179)、結論(p.193、p.195)から選ばれています。
いちばん刺さった1枚(p.28)
10枚のうちいちばん刺さったのは、p.28「仮説を持つべき理由: スピードと全体像」にある次の一文です。
部分の集合が全体になるとは限らない。(「仮説思考入門」p.28)

部分となる情報を集めていっても、全体のストーリーと合うとは限りません。仮説を先に決めて進めれば、全体の筋との整合性を保ちながら進められます。同じページには、もう1つの理由として「意思決定が早くなる」も挙がっています。(p.28)
試したこと
実際に試したことは、まだ何もありません。出たとこ勝負なタイプなので、これからは仮説を持って動くようにしてみたいと思います。
まとめ
この資料から持ち帰る1つのことは「正解がない中では、仮説を立てて確かめるサイクルを速く何度も回す」です。資料も、勝負は1サイクルの仮説の精度ではなく、より短い時間でより良い仮説に辿り着けるかだとしています(p.189)。仮説検証が大事な理由は「不確実性が極端に高い中で意思決定の大きなミスを少なくするため」とまとめられています(p.195)。
次回は博報堂の「界隈消費」についてのレポートを読む予定です。
参考資料
仮説思考入門 🗺 スタートアップの仮説思考 (1)(Speaker Deck)
仮説思考入門 🗺 スタートアップの仮説思考 (1)(東京大学 FoundX Review)
(いずれも2026年11月2日に確認)
